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犬猫のリンパ腫の症状・検査・治療法について|獣医師が解説 千葉県船橋市・鎌ヶ谷市のハロー動物病院

船橋市・鎌ヶ谷市・白井市の皆さまこんにちは。

千葉県船橋市・鎌ヶ谷市のハロー動物病院です。

今回はリンパ腫について解説いたします。

 

 

◆リンパ腫とは…

リンパ腫とは、

身体の中の免疫細胞であるリンパ球が、リンパ節もしくはその他の実質臓器において

腫瘍化・増殖したものです。犬において最も発生頻度の高い造血器腫瘍であり、猫においても腫瘍全 体の中で最も発生頻度が高い悪性腫瘍です。リンパ球は体内を循環しているため、身体のどこにでも 発生する可能性があります。同じリンパ腫でも、多中心型、消化器型、皮膚型、鼻腔型など、多くの種 類があり、それぞれによって治療法が異なります。リンパ節や脾臓が腫れていたり、臓器に腫瘤を形成 することもありますが、明らかでない場合もあります。

 

犬のリンパ腫で最も多い病型は、多中心型(体中のリンパ節が同時に腫れるタイプ)で、それよりも 頻度が低い病型として、消化器型(腸に腫瘤ができるタイプ)、皮膚型(皮膚に潰瘍やかゆみを伴う病 変ができるタイプ)、縦隔型(胸の中に塊ができるタイプ)があります。まれに、眼や中枢神経、腎臓、筋 肉、肝臓などにもリンパ腫が発生することがあります。このように多彩な病型が存在するため、認められる症状も様々です。

 

猫のリンパ腫では、消化器型、鼻腔型(鼻の中がリンパ腫の塊で埋め尽くされるタイプ)が多くみられ ますが、その他にも縦隔型など様々な病型があります。

 

◆症状

主な症状として、

★多中心型リンパ腫

発症の初期では、体表リンパ節(下顎、浅頸、腋窩、鼠径、膝窩)が左右対称性に腫れていることが 特徴的です。リンパ節の腫れが進行する速度は様々で、急速に進行する場合もありますが、緩やかに 進行することもあり、数年間にわたってあまり変化が認められないこともあります。全身状態が良好な 場合もありますが、頸部周囲のリンパ節の腫れにより呼吸困難がみられたり、病状によっては食欲低 下などの全身状態の悪化が認められることもあります。

 

★消化器型リンパ腫 主に小腸や結腸、胃などで発生し、腸間膜リンパ節が腫れることもあります。一般的に嘔吐や下痢、メレナ(黒色の血便)、体重減少、食欲低下などがみられます。しかし、慢性腸炎と似た症状であり、慢 性腸炎と消化器型リンパ腫の鑑別が困難なことがあります。嘔吐や下痢、体重減少以外に、黄疸や腹 水などの症状が認められることもあります。

 

 

★皮膚型リンパ腫 皮膚や口腔などの粘膜に腫瘤性病変を形成することもありますが、発赤や、びらん・潰瘍、瘡蓋などの病変が認められることが多いです。色素のある鼻鏡や口唇などでは、色素脱が認められることもあります。

 

★縦隔型リンパ腫 胸腔内に腫瘤病変が形成され、腫瘤による圧迫や胸水貯留により、呼吸速迫や呼吸困難などが認められることもあります。

 

★鼻腔型リンパ腫 猫での発症が多く、鼻のみに病変が存在することが多いです。一般的に、片側からの鼻汁・鼻出血、顔面の変形(眼球の突出)、呼吸困難が認められます。他には食欲低下やくしゃみ、いびき、流涙、下 顎リンパ節の腫れが認められることもあります。

 

◆検査

検査/診断方法は、

一般的に血液検査や胸部/腹部の画像検査、鼻腔であれば頭部の画像検査(レントゲンやCT検査) を行います。次にリンパ腫と確定する細胞診や病理組織学検査(後述)を行い、診断をしていきます。

多中心型リンパ腫では、体表リンパ節が腫大します。しかしリンパ節はリンパ腫でなくても、単純な細 菌感染や炎症(皮膚炎や歯周病)でも腫れることがあります。これらの病気と区別するためには、腫れて大きくなったリンパ節に細い針を刺し、針の中に入ってくる細胞を顕微鏡で観察する検査である『細 胞診』を行います。これらの検査は、痛みもほとんどなく、簡単に麻酔なしで行うことができます。またそ の場で診断がつくこともあります。

消化器型リンパ腫では、超音波検査で腫瘤を確認しながら腫瘤の細胞診を行います。 いずれもこの細胞診で診断がつかない複雑な症例では、組織を一部切り取り、外の病理組織検査セン ターで検査をしてもらう『病理組織学検査』が必要となります。この際は、麻酔下での処置が必要となる こともあります。

 

他、皮膚型リンパ腫では皮膚の一部を切り取る病理組織学検査、縦郭型リンパ腫では胸の中の腫瘤 や胸水の細胞診検査、鼻腔型リンパ腫では画像検査下で鼻腔の細胞診や病理組織学検査を行い、 診断をしていきます。

 

◆治療法

治療法は、

リンパ腫は基本的に全身性疾患であるため、治療法として抗がん剤(化学療法)が適応となります。しかし、リンパ腫の種類(型)によっては、抗がん剤や外科手術、放射線療法などを組み合わせることも あります。

例えば多中心型リンパ腫では、様々な抗がん剤を用いて治療をしていきます。複数の抗がん剤を組 み合わせることで、いろいろな角度からリンパ腫を攻撃し、治療効果を高めます。

治療の反面、抗がん剤による副作用として、発熱や嘔吐/下痢、脱毛が見られることがあります。し かし、多くは一過性であり、適切な対症療法により回復することがほとんどです。入院が必要となる程 の副作用の発生率は5%程度といわれています。組み合わせや投薬頻度により、治療効果や治療期間 、費用面も大きく変わっていきます。

 

他のリンパ腫も基本的に多中心型と同様に抗がん剤治療が適応となりますが、1か所にとどまって いるタイプでは、腫瘍の病変を外科的に切除した後に全身の抗がん剤治療を行う場合があります。

 

鼻腔型リンパ腫といった手術が難しい場所の場合、放射線照射療法が適応になることもあるため、 実施可能施設にご紹介致します。