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犬猫の糖尿病の症状・検査・予防・治療・合併症について|獣医師が解説 千葉県船橋市・鎌ヶ谷市のハロー動物病院

船橋市・鎌ヶ谷市・白井市の皆さまこんにちは。

千葉県船橋市・鎌ヶ谷市のハロー動物病院です。

今回は糖尿病について解説いたします。

 

◆糖尿病とは…

『犬と猫の糖尿病』

糖尿病とは、インスリンの絶対的または相対的な不足により、持続的な高血糖を引き起こす病気です。

 

インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンで、膵臓から分泌されます。

犬の糖尿病では、膵臓から分泌されるインスリンの量が不足することで高血糖になることが多く、猫の糖尿病では、膵臓から分泌されたインスリンに身体が反応しなくなることで高血糖になります。

他にはステロイド製剤の長期投与などが原因になることもあります。

 

糖尿病治療の目標は、血糖値をコントロールし、糖尿病による症状や合併症を予防して、長期的に生活の質を改善することにあります。このために、インスリン療法や食餌管理などが必要となります。

 

◆症状

主な症状は、

持続的な高血糖により、以下の症状を認めます。

・多飲多尿(飲水量・尿量の増加)

・体重の減少

・(犬)白内障

・(猫)末梢神経障害(後肢の踵をつけて歩く・ジャンプできない)

 

猫の末梢神経障害は、糖尿病の治療が安定すると改善しますが、犬の白内障は改善しません。また、猫では糖尿病を原因とする重度の白内障は起こりません。

 

糖尿病の原因や程度によって、無症状から糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧性昏睡など幅広い状態が認められます。糖尿病性ケトアシドーシスになると食欲不振や元気消失、消化器症を認めることがあります。

 

◆検査

検査方法は、

糖尿病は、症状(多飲多尿、体重減少など)、血液検査(持続的な高血糖)、尿検査(尿糖の陽性)から診断します。糖尿病を診断した場合、インスリンに抵抗を示す基礎疾患や、糖尿病が原因となる併発疾患を確認する必要があります。

 

◆予防

予防方法は、

猫では肥満によりインスリン抵抗性の高血糖が引き起こされることがあります。去勢された雄猫は特に肥満になりやすいため、肥満にならないよう注意が必要です。

 

◆治療法

治療法は、

糖尿病治療の目標は、血糖値をコントロールし、糖尿病による症状や合併症を予防して、長期的に生活の質を改善することにあります。このために、インスリン療法や食餌管理などが必要となります。

 

インスリンを過剰に投与すると低血糖となり、命の危機に瀕することがあります。また、インスリン投与量が不足すると、十分に血糖値が降下せず、糖尿病の症状や合併症を改善できません。治療に必要なインスリンの投与量や種類は個体差があるため、その子に合った治療が必要になります。

 

予後は、

血糖値のコントロールが良好であれば予後は良いです。糖尿病性ケトアシドーシスに陥った場合や、インスリンの過剰投与によって重度の低血糖に陥った場合を除くと、糖尿病そのものが死因になることは少ないです。しかし、犬では白内障による視力障害は少なからず影響するでしょう。

血糖値の管理が不良であれば、合併症により予後が左右されます。

 

糖尿病性ケトアシドーシスとは、

糖尿病の合併症のひとつで、動物が死亡する原因となります。

 

インスリンが枯渇することにより高血糖状態となり、腎臓から水分と電解質が失われ脱水します。同時に、細胞内に取り込まれるグルコースが不足し、糖代謝が低下することにより、細胞はエネルギー枯渇状態になります。細胞にエネルギーを与えるため、脂肪酸からエネルギーを産生しますが、その際にケトン体が同時に生成されます。ケトン体は酸性物質であり、過剰なケトン体は体内を酸性状態とし、代謝性アシドーシスや消化器症状、神経症状の原因となります。

最終的には全身の脱水や代謝性アシドーシスにより意識が消失し、死亡してしまいます。

 

主な症状は、

・意識障害(沈鬱・昏迷・昏睡)

・食欲不振

・脱水

・消化器症状

 

診断は、

・糖尿病に罹患

・尿ケトン体が強陽性

・代謝性アシドーシス

 

治療法と予後は、

糖尿病性ケトアシドーシスは緊急治療が必要になります。治療は輸液とインスリン療法が中心となり、血糖値をゆるやかに下降させます。飲食が可能になれば糖尿病の維持療法に移行します。

糖尿病性ケトアシドーシスから離脱した場合、通常の糖尿病と同様に、血糖値のコントロールが良好であれば予後は良いです。