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犬猫の慢性腎臓病の症状・検査・治療法について|獣医師が解説 千葉県船橋市・鎌ヶ谷市のハロー動物病院
船橋市・鎌ヶ谷市・白井市の皆さまこんにちは。
千葉県船橋市・鎌ヶ谷市のハロー動物病院です。
今回は慢性腎臓病について解説いたします。
◆慢性腎臓病とは…
『犬と猫の慢性腎臓病とは』
慢性腎臓病は腎臓に慢性的な病変が存在し、その進行が持続的な腎機能の低下を引き起こす病態です。慢性腎臓病は、腎臓の病変が数ヶ月から数年にわたって悪化し、最終的に末期腎不全や尿毒症に移行します。
慢性腎臓病は以下の様々な腎疾患の進行によって発症します。
・先天性疾患(腎低形成・異形成、多発性腎嚢胞、家族性腎症)
・免疫疾患(糸球体腎炎)
・腎疾患(腎盂腎炎、間質性腎炎、腎結石)
・感染症(FIP感染症、レプトスピラ症)
・中毒(腎毒性物質)
・腎血流量の低下(心疾患、ショック)
IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)により、慢性腎臓病は下記のステージ分類がなされています。
ステージ1
臨床症状はみられず、血液検査では異常値を示しません。しかし、尿比重の低下(犬:1.030以下、猫:1.035以下)や尿蛋白、超音波検査による腎臓の構造異常を認めることがあります。
ステージ2
多飲多尿の症状がみられるようになります。腎機能が低下すると尿濃縮ができなくなるため、尿量が増加し、脱水により飲水量が増加します。しかし、食欲低下や元気消失が認められないことが多いため、病気に気付かないこともあります。
ステージ3
老廃物や有害物質の排泄が困難となり、尿毒症が進行します。尿毒素により粘膜が荒れ、口内炎や胃腸炎がみられることがあります。食欲低下や嘔吐がよくみられるのも、このステージからです。
血液検査で腎数値(BUN、クレアチニン)の明らかな上昇がみられるようになります。また、貧血がみられることもあります。
ステージ4
尿毒症がさらに進行し、全身で重篤な症状が認められます。積極的な治療がなければ、生命維持が困難になります。
◆症状
主な症状として、
慢性腎臓病の臨床症状は進行状態により重症度が異なります。
初期の慢性腎臓病では明確な症状は現れませんが、進行するに従い多飲多尿、体重減少、脱水、貧血などの臨床症状が悪化していきます。
末期の尿毒症では乏尿・無尿や循環障害、消化管潰瘍、神経症状などの重篤な症状がみられるようになります。
◆検査
検査方法として、
腎臓病は、症状(多飲多尿、体重減少など)、血液検査(クレアチニン濃度の増加、SDMAの増加)、尿検査(尿蛋白の分析、尿比重、尿沈渣物の観察)、画像検査(超音波検査)、血圧測定から診断します。初期の腎臓病の場合、検査で異常がみられないことも多く、気付かれないことも少なくありません。
血液検査
・BUN(尿素窒素)の増加
・クレアチニンの増加
・SDMA(対称性ジメチルアルギニン)の増加
・高リン血漿
・電解質異常
・非再生性貧血
尿検査
・持続的な蛋白尿
・尿比重の低下
・UPC(尿蛋白/クレアチニン比)の増加
・尿沈渣物(赤血球、上皮細胞、尿円柱)の検出
◆治療法
治療法として、
初期の慢性腎臓病では、残存している腎機能の負担を可能な限り軽減して温存することを目的として、食餌管理や水分摂取が重要になります。
食餌管理として、低蛋白、低リン、低ナトリウムが好ましいとされています。しかし、食欲低下などにより腎臓病用の療法食を受け付けない場合には、嗜好性の高い一般食に切り替え、エネルギー不足や脱水の悪化を回避することが大切です。また、いつでも新鮮な水を飲める状態にしておくことも重要になります。
脱水や脱水による食欲不振がみられる場合は、輸液療法により脱水を改善させることもあります。
高血圧や蛋白尿がみられる場合や、腎臓の尿細管・間質の繊維化を抑制するためにACE阻害薬が使用されることもあります。
腎機能低下が進行し、多尿や嘔吐、下痢などによって重度脱水に陥った場合は連日にわたり輸液療法を行います。重度脱水であるほど、腎機能の低下は著しくなるため、脱水を補正して腎血流量を確保します。また、電解質の異常がみられる場合は、輸液と同時に電解質の補正も行います。
必要によっては、腹膜透析により老廃物の除去が適応となることもありますが、腹膜透析ができる病院は限られています。
他の症状に対してはそれぞれの症状に合わせた対症療法を行います。嘔吐がみられる場合はマロピタントやメトクロプラミドなどの制吐薬を使用し、貧血の悪化に対しては、造血剤を使用することがあります。補助療法として、尿毒素の経口吸着剤である活性炭や、食欲不振に対して食欲増進剤を使用することもあります。
そして治療の重要なポイントの一つには、早期発見が含まれます。
しかし、わんちゃん・ねこちゃんいずれもなかなか進行に気づかぬうちに病態が進行してしまっていることが多い病気、というのも事実です。そのため、若齢時からのご自宅での飲水量や尿量の積極的なチェックや、病院での定期的な健康診断がとても重要になります。