腫瘍科
こんな症状はありませんか?
このような症状が見られたら、腫瘍疾患の可能性があります。 動物病院では腫瘍疾患は多くみられる病気の一つです。- 皮膚や乳腺、口の中にしこりがある
- 元気がない
- 食欲がない
- 痩せてきた
- 嘔吐・下痢
- 尿の出方がおかしい
- 血尿
こんな病気の可能性があります
犬の主な腫瘍科疾患
リンパ種
リンパ腫は、血液・リンパ系のがんの中で最も多いタイプです。顎の下、肩、膝の後ろにあるリンパ節が腫れることで気付くことがあります。また、元気がない、食欲がない、吐く・下痢といった症状で気付くこともあります。診断は、腫れているリンパ節の細胞診、組織診時に遺伝子検査を用いて行います。高悪性度リンパ種は、主に抗がん剤により治療します。
乳腺腫瘍
乳腺腫瘍とは、乳腺細胞が腫瘍化してしこりができる病気です。犬の乳腺は脇の下から足の付け根まで左右5個ずつあり、1ヶ所もしくは複数個所にしこりがみられます。未避妊の女の子に多い腫瘍で、性ホルモンが関与していると考えられます。中高齢での発生が多く、さまざまな犬種で見られます。
良性と悪性の割合が半々で、見た目での判断が難しいため細胞診、転移の有無から治療計画を立て、外科切除するべきか判断し、切除した場合は病理検査を行います。
そのままにしておくと、肺やリンパ節への転移、腫瘍の自壊により出血することもあります。
肥満細胞腫
体の中の肥満細胞が腫瘍(がん)になってしまったものが肥満細胞腫です。
皮膚にできることが多く、悪性の皮膚がんの中では最も多いものです。
その他、皮膚の下の方や粘膜、筋肉、内臓などにできることもあります。
肥満細胞腫の悪性度やできている部分、転移があるかどうかによって治療は異なってきます。
悪性度が低く、転移がない場合には、転移や再発を予防するために外科的に摘出します。悪性度が高く転移などがあり摘出が難しい場合には、抗がん剤やステロイド剤を投与する化学療法を行ったり、放射線療法を行ったりしますが、完治は難しいといわれています。
メラノーマ
悪性黒色腫(メラノーマ)は色素(メラニン)をつくる細胞のメラノサイトが癌化した腫瘍です。皮膚と粘膜の接合した部分に発生することが多く、口腔内の粘膜、舌、眼瞼部、眼球、指先などにできます。発生した場所によって症状は異なり、口腔内に腫瘍ができると口臭やよだれが多くなり、出血が見られることもあります。進行の早い腫瘍のため、発生がわかった時点ですでにリンパ節や肺に転移している可能性もあります。
犬のメラノーマで行われる治療は、外科手術が第一に挙げられます。前述した通り、非常に悪性度が高く、転移をしやすい点、また正常な組織に深く根を張るような浸潤性も持ち合わせているため、小さいメラノーマであっても外科的に十分な余裕を確保して広範囲で切除、摘出をすることになります。
膀胱腫瘍
膀胱にできる腫瘍の多くは移行上皮癌と呼ばれる悪性腫瘍です。症状としては、血尿、排尿時のいきみ、おしっこが出ないといった症状を呈します。完全に尿路が閉塞してしまうと急性腎不全を発症し、命に関わります。診断は、尿の細胞診、組織診断、遺伝子検査などで行います。尿路のがんは膀胱や尿道内で広がっていくことが多く、手術による腫瘤の摘出のみで根治することは難しいことから、抗がん剤による治療が必要なタイプの腫瘍です。急性の尿路閉塞(おしっこが出ない)状態に陥った場合は、尿管の移設や膀胱と腹壁をつないで尿路を確保する手術が必要となる場合もあります。
一方、診断後も抗炎症薬の投与のみで長期間維持できる症例もありますので、診断や病気の広がりをよく調べて、治療プランを決めていくことが重要です。
猫の主な腫瘍科疾患
リンパ腫
猫のリンパ腫は、リンパ節だけではなくさまざまな部位に発生します。犬と異なり、体表リンパ節が腫れるタイプは多くありません。腸、腎臓、皮膚、鼻腔、脳といったリンパ節以外の臓器で発生し、さまざまな症状を起こします。下痢、幅吐、食欲不振、くしゃみ、鼻出血などの症状に対して一般的な治療を行ってもなかなか改善が認められない時に、リンパ腫の存在を疑って、画像検査(エコー検査、CT検査など)と組織検査(細胞診、組織生検)を行い、診断・治療を進めます。
治療は、抗がん剤による化学療法が主になりますが、腫瘍のできた場所によっては手術で摘出したり、放射線療法を行うこともあります。
乳腺腫瘍
猫の乳腺腫瘍は、悪性度が極めて高く、9割以上が乳腺癌(悪性腫瘍)です。しこりの大きさが2cmを超えると、予後(診断からどれくらい生存できるか)が悪くなることが明らかになっており、早期診断が極めて重要です。しかし、しこり以外に症状がないため発見が遅れる場合も多く、診断時には肺転移を認める例も少なくありません。家庭で乳腺を触ってしこりを早期に発見することが、治療の成功への第一歩です。
治療は、外科的な摘出が主であり、肺転移を認める例には抗がん剤治療を行うこともあります。
肥満細胞腫
肥満細胞腫は、身体のあらゆる場所で発生する可能性があり、猫では発生率が高い腫瘍です。皮膚に発生する「皮膚型」と、脾臓・肝臓・腸などに発生する「内臓型」があります。「皮膚型」は比較的良性の腫瘍が多いのですが、「内臓型」の場合、悪性度が高く転移しやすいといわれています。転移を起こすと治療が困難になり、命に関わる恐れもあります。
猫の肥満細胞腫は犬の肥満細胞腫と異なる点が多く、犬の肥満細胞腫はグレード(悪性度)分類が確立されていますが、猫では確立されていません。
肥満細胞腫の悪性度やできている部分、転移があるかどうかによって治療は異なってきます。
「皮膚型」で悪性度が低く、転移がない場合には、転移や再発を予防するために腫瘍周辺の正常組織ごと外科的に摘出します。「内臓型」で脾臓に発生している場合には脾臓摘出を行いますが、その他の場所に転移などがあり摘出が難しい場合には、抗がん剤やステロイド剤を投与する化学療法を行ったり、放射線療法を行いますが、完治は難しいといわれています。
当院の腫瘍科治療の特徴
当院の腫瘍科治療の流れ
-
1 受付・問診
午前は7時00分から受付を開始します(※午後の診療は15時00分から受付を開始いたします)。受付開始前にご来院された場合は、入口横にある受付表に飼主様のお名前とペット名をご記入ください。どの診療科を受診すればよいかわからない場合は、受付にお申し出ください。
受付にて、看護師が簡単な問診をとらせていただきます。 -
2 身体検査
問診を元に、身体検査を行います。受付で伝えられなかった事や気になっている事は、直接、獣医師にお伝え願います。
-
3 検査・処置
問診と身体検査から得られた情報から、さらにレントゲン検査や超音波検査、心電図検査や血圧測定を行い、診断を行います。必要に応じて血液検査を行うこともあります。
-
4 今後の治療計画のご説明
病状に合わせて、外科治療、化学療法、放射線治療もしくは緩和療法となります。ご不明な点やご不安な点は、ご遠慮なくお尋ね下さい。
-
5 会計・次回予約
診察が終わりましたら、待合室にお待ちください。お名前が呼ばれましたら、受付窓口にいらしてください。お会計時に、看護師からお薬のお渡しとご説明をさせていただきます。