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犬の外耳炎の症状・原因・検査・治療法について|獣医師が解説 千葉県船橋市・鎌ヶ谷市のハロー動物病院

船橋市・鎌ヶ谷市・白井市の皆さまこんにちは。

千葉県船橋市・鎌ヶ谷市のハロー動物病院です。

今回は外耳炎について解説いたします。

 

◆『外耳炎』とは…

 

外耳炎とは、外耳(耳の入り口から鼓膜まで)に起こる炎症です。

 

◆症状

主な症状は、

・耳や首のあたりを後ろ足で掻く行動が増える

・頭を振る

・耳を地面に擦り付ける

・耳垢、分泌物が増える

・耳が臭う

・耳の中が赤くなる

・耳の中が腫れる

・耳を痛がり触らせない

・音が聞こえにくくなる

などです。

◆原因

原因として、

・寄生虫:耳ダニ・ニキビダニ・マダニ・疥癬など

・異物:毛・植物の種・固まった耳垢など

・アレルギー:アトピーや食物

・感染:細菌や真菌(カビ)

・腫瘍

・角化異常:脂漏性皮膚炎

・代謝異常:内分泌疾患

・免疫介在性疾患

・真菌感染

などがあり、片側性の外耳炎は、異物、外傷、感染症、ポリープや腫瘍などが原因で起こる可能性が高く、両側性の外耳炎は、皮膚炎、内分泌・免疫・角化異常、構造的要因、環境的要因、全身性疾患などが原因になる可能性が高いです。

また、垂れ耳や耳毛が多い犬種では悪化しやすい傾向にあります。

季節的には、高温多湿の時期に悪化することが多いです。

◆検査

検査は、

・耳鏡という検査器具で、耳の入り口から鼓膜までの様子を確認します。

・耳垢があれば採取し、ダニや細菌、酵母菌(マラセチア)などがいないかを顕微鏡で調べます。

・細菌感染が認められた場合は、必要に応じて、細菌の培養検査や抗生剤感受性検査をします。これは、どのような菌が感染していて、どの抗生剤を使うと効果があるかを調べる検査で、院外の検査機関に依頼をします。

 

 

◆治療法

治療法として、

洗浄

耳の洗浄を行い異物・耳垢・細菌などをできる限り取り除きます。

外耳炎の治療で最も大事なのが洗浄です。

外耳炎の時の耳洗浄はとても大事ですが、ご自宅で綿棒などを使ってしまうと、耳垢を奥まで押し込んでしまい悪化させてしまったり、擦ることで感染を助長してしまうこともあるので、獣医師から指示がない限り、ご自宅での洗浄は行わないようにしましょう。

 

点耳薬

洗浄を行いきれいになった耳道に点耳薬を入れます。

点耳薬は、炎症の鎮静化や感染の抑制効果があります

多くの場合、点耳薬はご自宅でも行って頂きます。

ご自宅での点耳が難しい子の場合は、長期間効果が持続する点耳薬を使用する場合もあります。

 

内服薬

消炎剤や抗生剤を内服していただく場合もあります。

 

アレルギー管理

アトピーなど、アレルギーが主因になっている外耳炎では、アレルゲンを特定し、避けるなどの対策や、内服薬によるアトピーの管理が必要になる場合もあります。

また、プロアクティブ療法(低用量や低頻度で薬を続けて、悪化をさせないようにしながら維持をする方法)でアレルギーと上手に付き合っていく方法もあります。

 

耳の乾燥:

長い耳を持つ犬種では、耳の中が湿気ることが多いため、適度な乾燥を保つことが大切です。耳の中が湿っていると細菌や真菌が増殖しやすくなります。

 

予後について、

急性の外耳炎は、適切に治療を行えば完治することが多いですが、経過が長くなると耳道の皮膚の肥厚や繊維化、耳垢腺の過形成などが起き、耳道狭窄(耳道が狭くなる)を引き起こし、その結果慢性外耳炎へと移行してしまいます。

外耳炎が長期化し慢性外耳炎になってしまうと、分泌物や炎症細胞により蛋白が分解され、鼓膜穿孔(鼓膜が溶けて孔が開いてしまう)が起きてしまう可能性があります。その結果中耳炎を引き起こし、外耳炎をより治りにくくしてしまいます。

 

外耳炎の治療は、ご自宅での投薬がとても大事になってきます。

症状が良くなってきたからと、点耳薬を中断してしまったり、再診をやめてしまうと耳の中の炎症が再燃して中耳炎に発展してしまったり、難治性の慢性外耳炎になってしまうことがありますので、獣医師からの指示があるまで投薬をやめてしまったりすることが無いようお願いします。